サイコロ会

ぼくの大学の同期の何名かは,とても仲がよくまとまりもよいので,この数年,毎年,同窓会をしていて,今日がその同窓会「サイコロ会」の日だったのです。今年の同窓会は,東日本大震災の復興支援チャリティも兼ねて企画されていたようなので,出席したかったのですが,種々の事情で出席がかなわなかったので,以下の文章を託しました。

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クラス会に出席できればよかったのですが,いろいろな事情でかないませんでしたので,この文章をぼくのかわりにします。

3月11日の地震は酷かったのですが,大学はたまたま春休みで授業もなく,後期日程試験の前日で,受験生もいなかったので,大きな混乱はありませんでした。ただ,地震直後から電車が止まってしまい,自動車も国道も地割れや土砂崩れなどで大渋滞して,帰宅するのがとてもたいへんだったようです。

ぼくは,幹線道路ではなく,裏道を通ったので,比較的スムースに帰宅できましたが,それでも途中,道路が陥没していたり,地滑りで壊れていて,かなり迂回したりしました。福島の町並みをみると,だんだんと事態の深刻さが明らかになってきて,運転しながらも,足が震えるほどでした。

福島大学は10年ほど前に耐震補強工事をしていたので,建物自体の被害はほとんどありませんでした。ぼくの研究室も,本棚の本が散乱してしまいましたが,被害はそのくらいでした。地震の時は,ちょうど研究室で仕事をしていたのですが,地震で研究室の本棚があたかもダンスを踊っているように動き出したり,本が勢いよく宙をまったりして,びっくりしました。

このように地震の被害はあまりなかったのですが,翌日から断水が続いたのには,まいりました。なにに困ったかというと,おトイレです。断水中は,ウォシュレットも止まってしまいましたし,トイレットペーパーも品薄で大切に少しずつ使っていましたし,心ゆくまでおトイレしてウォシュレットしたいと思っていたので,水道が開通したときには,とても嬉しかったです。ウォシュレットで,幸せをお尻で受け止めていました。

地震で,ほとんどのスーパーが壊れてしまったので,僅かに開いているお店にお客さんが殺到し,入店するまで1時間以上並んだにもかかわらず,品物が売り切れてほとんどなかったり,お店のおトイレも使用禁止で我慢したりと,大変でしたが,お客さんたちも,混乱なく順番を待っていたりとマナーはよかったです。

一時は,ガソリン不足が深刻だったのですが,それが解消されてからは,物流も回復しましたし,福島市内は一週間ほどで水道も復旧したので,それほど不自由しませんでした。ただ,外に出ると,古い家のほとんどで,屋根の瓦が落ちてしまっていたり,塀が倒れていたり,倉の壁が崩れ落ちていたりと,震災の影響がみられています。

福島大学では5月9日に入学式があり,5月12日から授業も再開され,学生たちが大学に戻ってきてくれました。ようやく日常が戻ってきた感じです。幸い教職員にも在学生にも,人的被害はありませんでした。ただ,津波から車でバックしながら逃げた学生がいたりしたようです。卒業生の安否確認はある程度しか進んでいないのですが,残念なことに,母親が行方不明になってしまった卒業生や,交際中の彼が亡くなってしまったりした卒業生がいて,かける言葉がみつからないくらいです。

みなさまには,震災直後から,ご心配いただいたり,お見舞いしていただいたりしていただき,とても心強く思いました。みなさまの励ましのお言葉に支えられてきました。ほんとうにありがとうございました。

さて,放射線ですが,福島市内の外気放射線量はずいぶん下がってきましたが,ほぼ横ばいです。健康への長期的な影響が定かではありませんので,不安を持ちながら生活している学生も多いようですが,放射線は目にみることができないので,どうしようもないですね。事態が収束することを祈っています。

福島市内は内陸部にありますので,被害はそれほど大きくないのですが,沿岸部の被害は甚大ですし,避難地域の人たちのこともあり,復興にはまだまだ多くの時間と努力が必要になります。ぼくも,微力ですが,できることを続けていきたいと思っておりますので,みなさまにも,ぜひ,長期的なお力添えをいただけますと幸いです。しみじみと感じたのは,人と人とのつながりの力がいかに大きいかということです。みなさまと繋がっているという感じは,大きな力になっています。
来年のクラス会には,みんな笑顔で再会しましょう。それまで,お元気でお過ごしください。

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本当に来年は笑顔で再会しようね。